尼のような子

少年アヤ『尼のような子』 少年アヤ 話題沸騰! 序章 好きな男の子が、ドライブへ連れていってくれました。何度か打診(脅迫)していたとはいえ、いきなり夢が叶ってしまい、もう有頂天です。人生クライマックスです。私からするとデートそのものですが、彼にとってはあくまで友人同士の付き合いだそうで、その線引きは残酷なほど明確でした。しかし、一生に一度あるかないかのこの機会、私はもろもろの自意識を捨て、選ばれしお姫様になりきり、助手席へ乗り込むことに決めたのです。  港から見た夜景のきらめきは、目がつぶれそうなほど美しく、いつか骨董市で見た、アンティークのクリスマスブローチを思わせました。金色のツリーにちりばめられた、いくつものガラス玉。あれみたく、この夜景を切り取って、胸のあたりにさして歩けたらどんなにいいか。
 その時、すれちがったカップルがこちらを見て、「うわ、ホモ?」とふざけて笑うのが聞こえました。ハッとして見た彼の顔は、完全に青ざめていました。そしてこう言いました。
「……もう帰ろう」
 それは魔法の解けた瞬間でした。私はシュルシュルと化けの皮を剥がされ、纏っていたはずのドレスは消え、彼に対する感謝は罪悪感へと変わりました。相変わらず美しい夜景は、ますます私という存在の醜悪さを際立たせ、何かとてつもなく巨大なものの後ろに隠れたくなります。彼はどんな気分でいたんだろう。って気付いてたじゃん。顔、ずっとこわばってたじゃん。嫌なんだよ。恥ずかしいんだよ。気持ち悪いんだよ。  消えてしまえ、私も、世界もすべて。彼一人をちいさな花園に残して、消えてしまえ。そう強く唱えると、世界も彼もそのまま、私一人だけがフッと消えてしまう感覚に見舞われました。
窪美澄さん推薦! 「愛したい! そして愛されたい!
アヤちゃんの日々の咆哮は、愚かな私を許し、
最低最悪な毎日を、
ほんの少しだけ、明るく照らしてくれるのだ。」 少年アヤ『尼のような子』
四六判 定価本体1,300円+税

失恋からはじまった、
とめどない迷走、
果てしない自分探し

消費税と共にうまれ、自己愛と自己否定に翻弄されながらコラム&エッセイなどを執筆する少年アヤの、原点とも言えるブログを基に全編書き下ろした初書籍。叶わぬ恋、韓流依存、ニート生活、某俳優への愛憎、下半身トラブル、アイドル信仰…… 身から出た錆に血まみれになりながらも走り続けた迷走の記録。

 

 

書評掲載・メディア紹介情報

 

○TBSテレビ「ゴロウ・デラックス」出演 ○朝日新聞 5/18 日曜版
○週刊朝日 5/9-16 合併号 ○TV Bros. 4/26号 ○ケトル vol.18
○AERA 4/21号 ○TBSラジオ 「荻上チキ・Session22」出演
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