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概要

営業の悪魔

14るということだ。受け入れてもらえたらハッピーこのうえないが、拒まれたら……と想像するだけで憂ゆう鬱うつな気分に支配されてしまうではないか。「女の子のことは関係ないだろう」航介は拓也の言葉をとがめた。拓也はかまうことなく言う。「営業の仕事と女の口説き方は、意外と共通点があるんだぞ。そうだ航介、この前の居酒屋でお前の正面に座っていた子、あれからどうした?二人で逢おうってメールくらい送った?」「いいや、メールアドレスなんて聞いてないし、教えていない」航介が答えると、拓也は、「はあっ?」と言って目をむいた。「航介みたいな男がタイプだと言ってくれた子に、お前、行かねえのかよ!」「正確にはそうじゃない。『イケメンとは言えないけど、目がくりっとして愛あい 嬌きようのある南原くんの顔は割とタイプかも』……って言ったんだよ。ぼくに気があるなら、向こうから連絡先を教えてくるでしょ」そうは言っても、彼女候補をこれまで何度他の男にさらわれたことか。いや、もっと切実に考えるべきは仕事の話のほうか。「合コンのセッティングをする甲斐がないな、まったく。チキンハートめ」拓也がぼそっと言った。航介はカチンときたが、当たっているだけに反論できない。「なんだ、それ。鶏の心臓なら、タレ焼きにして食いたいな」「アホか。ビビリって意味だよ」