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概要

営業の悪魔

1章 うまくいかなければ使い捨て214 トップ0.1%の売り方の極意を暴け「いや、だからさあ。営業本部長が、南原くんに直々に話があるっていうことだから戻ってきて」本社営業推進室の杉課長による面談はわずか十分間で終了した。航介は異動先が決定するまでの間、八はち王おう子じ市にある宿泊施設兼研修センターに滞在するようにと指示を受けた。言われた通りに新宿駅へ向かって歩いていたところへ、杉からの電話だ。また本社に戻ってこい、と言うのである。「営業本部長が、ですか?何のお話なのでしょうか」「知らないよ。いいからすぐに戻って、十階の経営企画室へ行ってくれ」航介はもと来た道を引き返し、本社が入居しているビルまで戻ってきた。十階に上がり、案内表示を探した。ちょうど部屋から出てきた社員らしき女性に、営業本部長に会うにはどこへ行けばよいか、と訊たずねる。女性はきびすを返してドア横のセキュリティボックスにカードキーをかざして解除すると、にっこりと笑って航介を中に入れた。フロアーの一番奥にある個室を指差して、「本部長室はあそこです」と言うだけ言って、また出ていってしまった。航介が営業本部長の滝たき沢ざわ 望のぞむをリアルで見たのは、三年前の入社式で一度だけだ。あの人こ