ブックタイトル営業の悪魔
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営業の悪魔
1章 うまくいかなければ使い捨て13よ。もっといいマンションに引っ越せば?夜中に叫んでも大丈夫なように」「人間らしい生活をするには、壁が薄くてもいいから最低1DKの間取りは必要なの。ぼくの給料じゃ、いまより高い家賃を払うのは無理。拓也はわかっているくせに」航介がぼやくと、拓也は子どもをなだめるような柔和な笑顔を見せた。「それはさ、航介がチャリンコを部屋の中に入れているからだろ」「ロードバイクと言ってくれ。ピナレロ製だぞ」「はいはい、二十四回払いのな。で、今日はどうするの。そのホクロ毛の専務さんとこ、また行くの?」「ううん、脈はなさそうだから、放っておくつもり」「追いかける気がないなら、見積書を持って行くなんて言うなよ。適正に粗利益を乗せた価格を提示して、そのうえで高いと拒絶されたら終わればいいんだ」拓也は非難めかして言った。まるで上司が部下を相手に指導しているみたいだ。航介はげんなりしたが、顔には出さないでいた。「だってさあ、完全に見込みのない状態にするよりも、オッケーになる可能性をふわっと残しておくほうがいい気がしたからさ」「航介は、クロージングをかけることがそんなに怖いのか?営業の仕事も、女の子との出逢いも、お前は自分からチャンスを遠ざけているんだぞ」 ─クロージング。営業でいえば、相手に決断を迫ること。つまり契約か否いなか、白黒をつけ