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概要

日米開戦の正体

19 序章 なぜ今、真珠湾への道を振り返るのか米国歴史協会のサイトに掲載されているピーター・N・スターンズ(歴史学者。ジョージ・メイソン大学教授)の論評、「なぜ歴史を学ぶか」(Why Study History?)が一つの答えを出しています。「歴史は人間や社会がどう動くかを示す情報の倉庫である」「人間の行動を実験するわけにいかない。歴史こそ実験室といえる。歴史だけが人間、社会の行動の広範な証拠を提供してくれる」歴史は人間社会がどう動くかを理解するために貴重なのです。歴史は昔を知るためだけの学問ではありません。今を理解するためです。残念ながら日本では歴史と言うと、「何年に誰が何をしたか」を覚える「暗記科目」と見られています。欧米で歴史を学ぶ者にとってトゥキュディデスの『歴史』は必読書です。ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授は二十世紀後半の代表的な国際政治学者ですが、彼は『国際紛争』(田中明彦、村田晃嗣訳、有斐閣)で次のように記述しています。〔国際政治経済学者の〕ロバート・ギルピンは、「真面目に考えてみて、国家の行動について、20世紀の国際政治学者が知っていることで、ツキュディディスや紀元前5世紀のギリシア人が知らなかったことなどあるのだろうか」という疑問を発した後、自らこう答えている。「究極的に言えば、国際政治は依然としてツキュディディスが特徴づけた通りのもの