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概要

日米開戦の正体

42権威政治を押しつけられることになってもほとんど無関心であった。事実、彼らの多くは、せっかく手に入れた知的・政治的自由にぎこちなさを感じて、むしろもう一度天下り的権威のもとで感情的な安住を得たい、とさえ考えていたのであった。封建時代から引きつづき残っていた、このような根強い性質が影響したのでなければ、一九三〇年代のあの反動は起こり得べくもなかったろう。しかし、反動そのものが封建政治への復帰という形をとったわけではない。高度に近代化した工業国が、そのような形で過去に逆戻りすることはあり得なかった。日本が選んだのは、かつて西洋のいくつかの国が進んだ道であった、すなわち、それらの国々では、日本と同様、過去の権威政治の精神的遺産が工業化された現代までその息吹きをつづけ、さらに工業化された現代にまで溶けこみ、ファシズムであれ共産主義であれ、全体主義の無差別奴隷社会を創り出していたのである。「真珠湾への道」の最大問題は軍人の独走を許したことにありますが、なぜ日本社会はこれを止められなかったという点について、ライシャワーは「日本社会の権威への従属」を指摘しました。今日また、その弊害が出てきているようです。