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概要

日米開戦の正体

4ところで、この本は「天皇陛下のご感想」の前に第一稿を書き上げていたものです。奇くしくも、天皇陛下のご感想にある「満州事変に始まるこの戦争の歴史」を考える本を、なぜ「今」書くに至ったのでしょうか。それは、「今」こそ、十分に歴史を振り返り考えるべき点があるのだと、強く思ったからです。この本は、日にち露ろ戦争から、真珠湾攻撃までの期間を扱っています。読者のみなさんは、たぶんご存じと思いますが、私は『戦後史の正体』(創元社)という本を書きました。この本の焦点は一点です。「戦後の日本で、米国の圧倒的な影響力の下、日本の首相が自主を唱えたときにどうなるか」、これで戦後の歴史を見ました。「自主か対米隷れい属ぞくか」で見てみると、戦後を貫く縦糸が浮かび上がってきました。事実、「そうだったのか」と多くの人から、コメントをいただきました。大手新聞の書評もなく(逆に一社の酷評があり、私のツイッター読者の抗議があまりに多く、この社は書評の一部を削除すると小さく報道しましたが)、賞もなく(昔は別の本で山やま本もと七しち平へい賞をいただきました)、でも二二万部印刷されたことは、大変なことと思います。同じように、今回、日露戦争から、真珠湾攻撃までの期間を書く目的はただ一つです。「なぜ真珠湾攻撃という愚おろかな道を歩んだか」です。では、今、なぜ「真珠湾攻撃という愚かな選択をしたか」について書こうと思ったか。それは今の日本が、日露戦争から真珠湾攻撃へ至る「いつか来た道」を歩んでいると考えるからです。