ブックタイトル京都大学人気講義 サイエンスの発想法

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概要

京都大学人気講義 サイエンスの発想法

第1 講「嫌いなもの」でアイデアをつかもう!021安全なのか、長期にわたって服用しても健康に害がないのか、まだわかりません。重じゆう篤とくな害があれば、それを薬にすることはできません。害がまったくなければ、薬になります。軽い害があるようならば、それを利用者に広く知らせたうえで、年齢を操作できるという利点とのバランスを利用者に判断してもらいます。それから、商売が成り立つかどうかを考える必要もあります。こういった判断がまだできない時点では、「薬になるかどうかはまだわからない」と言わなければなりません。この時点で唯一確実に言えることは、この不思議な化合物を道具にして、「研究」ができるということです。身体の中で、この化合物は細胞にどのような効果を及ぼしているのでしょうか。この化合物は、細胞のどのような働きに作用して、どのようにして年齢を操作するのでしょうか。この不思議な化合物を出発点として、人間の老化について研究することができるのです。ポパイのホウレンソウ、人魚姫の薬、ドラえもんの「桃太郎印のきびだんご」、ONEPIECEの「悪魔の実」といった化合物が実際にあれば、筋肉の発生、足の発生、感情の調節、細胞の分化や性質について、新たな角度から研究することができるでしょう。そう、不思議な化合物が見つかれば、不思議な生き物の営みを研究するきっかけになる