ブックタイトル僕たちは戦後史を知らない――日本の「敗戦」は4回繰り返された

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概要

僕たちは戦後史を知らない――日本の「敗戦」は4回繰り返された

  18もっとも、この定義には少々問題がある。第二次大戦は一九三九年九月、ドイツのポーランド侵攻をもって始まるので、『広辞苑』にしたがうかぎり、一九三九年から一九四五年までは「戦前」でも「戦後」でもないことになるのだ。当の期間を「戦中」と規定してもよいが、日本で「戦中」と言えば、真しん珠じゆ湾わん攻撃によって太平洋戦争の開始された一九四一年十二月以後を指すのが一般的であろう。となると定義を変えて、連合国への降伏を決めた一九四五年八月までを「戦前」と規定した方が、より明快と思われる。戦前とは「(敗)戦前」、つまり第二次大戦の終わる前というわけである。わが国ではこちらの意味合いで「戦前」が用いられる場合も多いので、こうしても別に問題は生じない。「戦前」と「戦後」の対称性は、「第二次大戦(終了)の前と後」という時間的な前後関係にとどまるものではない。われわれは「戦後」について、良くも悪くも、戦前とは反対のもの、戦前を否定するものと見なしているのだ。ならば「戦前」の中身を規定することこそ、戦後を知るうえでの出発点ということになる。戦後を考えるうえでのポイントが、「戦後はいつまで続くのか」だったとすれば、戦前を考えるうえでのポイントは、「戦前はいつから始まったのか」だと言える。単純に考えるなら、