ブックタイトル僕たちは戦後史を知らない――日本の「敗戦」は4回繰り返された

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概要

僕たちは戦後史を知らない――日本の「敗戦」は4回繰り返された

19   第1章 終戦を疑え(1941年~ 1947年)一九四五年八月以前はずっと「戦前」だという話になるが、江戸時代や室町時代を戦前に含める者はいまい。「戦前」と言ったとき、普通われわれが思い浮かべるのは、明治から敗戦までの約八〇年間なのである。一八六八年の明治維新によって、日本のあり方は大きく変わったため、この区切り方は十分な根拠を持っていよう。では、明治維新による変化の本質は何か。これは「欧米諸国が世界の主導権を握ったという時代の状況に適応し、積極的な近代化・欧米化に乗り出したこと」とまとめられる。江戸時代の日本は、長らく鎖国を続けていたものの、欧米の植民地にされてしまう危険を避けるためにも、そんなことはやっていられなくなったのだ。近代化・欧米化の目標は、いわゆる「富国強兵」、つまり産業化と軍事力の強化を達成することである。これは自国の存立と繁栄を維持するための手段であり、ひいては国際社会(とくに東アジア)での地位を確固たるものにするための手段であった。したがって戦前は、「日本が生き残りをかけて、国際社会を舞台に、独自の国家戦略を追求した時代」と規定できる。いいかえれば幕末、アメリカのペリー提督が率いる艦隊(いわゆる黒船)の来航をきっかけとして開国に踏み切った後は、明治維新以前であっても「戦前」に含めてよいかもしれない。逆に大日本帝国憲法(明治憲法)が制定され、議会が初めて開催され