ブックタイトル僕たちは戦後史を知らない――日本の「敗戦」は4回繰り返された

ページ
24/36

このページは 僕たちは戦後史を知らない――日本の「敗戦」は4回繰り返された の電子ブックに掲載されている24ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

僕たちは戦後史を知らない――日本の「敗戦」は4回繰り返された

  22領軍総司令官であるダグラス・マッカーサー元帥の宿舎に使われていた。国外から見るかぎり、敗戦によって、日本という国はいったん存在しなくなったにひとしいのだ。自国の存立をめぐる状況がこのありさまでは、アジア諸地域が独立を勝ち取ったところで、戦争目的が達成されたと主張できるはずはない。太平洋戦争は、疑問の余地なく完敗だったのである。それはさておき、すでに述べた通り、われわれは戦後を、戦前とは反対のもの、戦前を否定するものと見なしている。一方、戦前は「日本が生き残りをかけて、国際社会を舞台に、独自の国家戦略を追求した時代」だったのだから、戦後とは「日本が生き残りをかけて、国際社会を舞台に、独自の国家戦略を追求し、な、く、な、っ、た、時代」と規定できよう。「生き残りをかけて(=生き残ろうとすればこそ)国家戦略を追求しない」というのは、矛盾しているように思えるかもしれない。しかし敗戦の翌年、一九四六年に公布された日本国憲法の前文には、こう明記されている。「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇すう高こうな理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷れい 従じゆう、圧迫と偏へん 狭きようを地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」