ブックタイトル僕たちは戦後史を知らない――日本の「敗戦」は4回繰り返された

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概要

僕たちは戦後史を知らない――日本の「敗戦」は4回繰り返された

  30(1)「戦後」が終わっているのか、あるいは続いているのか、われわれは本当のところ分かっていない。「終わったように見えるたび、また新しく始まるのが戦後」という見方さえ成り立つ。(2)「戦後」は「戦前とは反対のもの」と見なされるが、国家戦略の有無に注目するかぎり、当の認識は正しい。戦前は「日本が独自の国家戦略を追求した時代」、戦後は「日本が国家戦略の追求を放棄した時代」と規定できるからである。(3)これは敗戦を境にして、国のあり方に関する価値観の逆転が生じたことを意味するものの、どうして逆転が起きたかについては、納得のゆく説明が存在しない。「戦前」の終わりをもたらした昭和前半期の戦争、とくに太平洋戦争について、日本人が本当に反省しているかどうかは、考えれば考えるほど疑わしいのだ。断わっておけば、私は「まだまだ『過去の反省』が足りない!」などと主張したいのではない。どんな国の歴史にも、大いに誇れる点と、いかんせん誇れない点の両方が含まれる。「国を愛する」とは、誇れる点と誇れない点をともに認めたうえで、その全体を肯定することなのである。自国の過去について、誇れる点ばかりを強調するのも考えものだが、否定や反省ばかりを半世紀以上にわたって続けるのも、決して健全な振る舞いとは言えない。