安江アニ子先生×MAYU先生の初単行本
「ラブ&マネー」がこの度、発売となりました。
発売を記念して安江先生にインタビュー!
作品にかける熱い想いを語っていただきました
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定価950円

 


編集部(以下、編):初単行本おめでとうございます!
          初めましての方もいらっしゃるかと思いますので、
          簡単に漫画家になられるまでの経緯をお聞かせください。

安江(以下、安):絵を描くのが子供の頃からずっと大好きで、
         将来は絵を描く仕事がしたいと漠然と思っていました。
         漫画家にももちろん興味はありましたが、中高生の頃に
         漫画の描き方を知って道具を一通り揃えてみたものの、
         トーンを貼ったりベタを塗ったりといった一連の手作業が
         粗忽さと不器用故に一切出来ず…。
         それから漫画を描くことは自分には無理だと諦めていました。
         数年前に雑誌でパソコンで漫画が描けるソフトの存在を知り、
         パソコンを買い、練習のために初めて短編漫画を一本描いてみました。
         その次に描いたものをフィールヤングに投稿したのが
         デビューさせて頂くきっかけになりました。



編:投稿1本目でデビューなんて凄いですね!
  本作品は初の連載&原作付きのお話となりましたが、取り組んでみていかがでしたか?

安:最初は本当にいろいろ初めてのことばかりで
  無事に最終回まで辿り着けるのかが不安でしたし、
  正直こりゃ大変なことになったなあと思いました(笑)
  MAYUさんの強い思い入れが伝わってくる原作でしたし、
  そこに自分がどう加われるんだろうかと途方に暮れてしまいました。
  でも、やはり私にとっても大きな挑戦しがいのあるお仕事でしたから、
  何より皆さんの期待を裏切ることのないように努めようと覚悟を決めて、
  ペースに慣れてからはわりと楽しんでやれたかなと思います。
  と言ってもそれは本当に後半部分に入ってからのことでしたが…。



編:一番描いていて楽しかった、もしくは印象深かったシーンはありますか?

安:最初からずっと描くのを楽しみにしていたのは、
  あかねがしのぶに迎えに来てもらうシーンですね!
  あそこは彼女がしのぶの気持ちを受け入れて、
  初めて本当に心底自分の行為を後悔する重要で繊細なシーンだと思っていましたので、
  気持ちを殺すしのぶの表情、泣くあかねの表情を繊細に表現できるように、
  ネームからイメトレを何度も繰り返した覚えがありますし、
  実際あの形に収まるまでには何度も担当さんとご相談を重ねて苦労したシーンです…。
  あと、幸せそうに見えるお風呂のシーンや2人が家にいて楽しそうにしているけれど
  実は辛くて切ない、とか、裏にあかねのはっきり明言できないもやもやした感情が
  見え隠れするようなシーンは私も気持ちを入れて
  一緒にもやもやしながら線を引いたつもりです。
  描いていて楽しかったのはあかねとその友達のカオリが絡むアッパーなシーンと、
  なんと言ってもヘルスの客のおっさん達です(笑)。

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あかね(右)&カオリ(左)
 

  リアルな姿を描けるように、普段から見かける
  中高年の男性方をめちゃめちゃ観察してました(笑)。
  あの人は家族には良い旦那さまで良い父親のように振る舞っている
  けれど風俗に行ったら意外と横柄な態度を取るんじゃないかな、とか、
  逆に風俗嬢に対しても女の子として優しい扱いをしそうだな、とか… 。
  そんな風に勝手に私が色眼鏡をかけて観察してしまった
  おじさま方には申し訳ないことですが…(笑)

編:オッサン(爆笑)
  確かに毎回登場するお客さんの描写はリアルでした。
  ぱっと見ただけで「この人はきっと普段は…」と想像できるというか(笑)。
 

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こういうおじさま達いますよね~。


安:読んでそう思って頂けたらもう、本望です…。
  観察対象のおじさま方にも申し訳が立つと言うもの?です(笑)


編:原作が持つリアリティを損なわず、なおかつ安江さんの作品として再構築するのは
  大変な作業だったのではないでしょうか?

安:原作にあるリアリティーを壊さないというのは何よりも大前提としてあったことで、
  そのあたりはお話を頂いたときから最重要視する部分でしたし、
  担当さんとも毎回一緒に考えていきました。
  私が拙いせいで本当にいろいろご迷惑をおかけしてしまって…。
  担当さんのご尽力があってこそだったと思いますので本当に本当に心から感謝しております!


編:主人公のキャラクターはどのように決まったのでしょうか?
 
安:主人公のキャラクターは、まず担当さんと初回の打ち合わせ時に
  「安江さんの描き易いように変えて構わない」と言って頂いたのですが 
  最初に原作を頂いたときから主人公の髪型やファッションが
  いわゆるありがちなギャル系というか、派手な感じではなかったのが
  またリアルでしたし私にもイメージに違和感なくしっくりきましたので、
  さほど変更もなく、あかねは割と原作とも近いようなキャラクターになったと思います。

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あかねはカジュアルなイメージ


  実在の人物を参考にということはなかったですが、
  勝手に私の中ではあかねは身長162センチくらい、
  彼氏のしのぶは180センチくらいかなあと設定してましたね(笑)
  なんとなくですが(笑)

 

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あかね(右)&しのぶ(左)
 

編:ネーム中や作画中も音楽って聞かれているんですか? どんな音楽を聞いているんでしょう?
  もしテーマソング(笑)なるものがあれば、是非それも教えて下さい。

安:音楽は常にかけていましたが、
  ネーム中は集中していると何がかかってるかとか全然判らなくなってしまいますね(笑)
  しっちゃかめっちゃかに詰め込んであるiTunesをランダムでかけていて、
  ネームが一区切り付いて、ふと気付いたらTMネットワークがかかっていたりして
  「えっ、うわっ、懐かしっ!」ってなったりとかしました(笑)
  あとはThe Birthday、JOY HEIGTHS、ZAZEN BOYSとか
  ちょこちょこライブに行っているバンドを聴いていたり。

  私は完璧に夜型人間で、作業しているのが夜中~明け方が多いので
  (というか、真っ昼間からおじさんの裸とか描いていると
  ちょっといろんな部分で支障をきたしたりしてしまうのです(笑))
  まったりした音楽が多いですが、作画作業中は基本的に日本語の歌は
  歌詞に気を取られてしまうので、外国のバンドやインスト系…日本のジャムバンドとか、
  ネットで公開されていてフリーダウンロード出来るマッシュアップものや
  リミックスをかけていることも多かったです…いい時代ですよね!
  新しいものが次々に公開されているので飽きないし、
  数珠繋ぎで若くて新しいアーティストも見つけられるし!

  テーマソング的なものとしては…作品に合っているのかわからないですが
  特にTELEVISION の アルバムで、MAQUEE MOON を多く聴いていたかもしれません。
  逆に、「これはラブ&マネーに合う!」という音楽があればぜひ教えて頂きたいです…。


編:それは私も聞いてみたいです。
  「これぞテーマソングだ!」というものがある方は、編集部宛にまでご連絡ください(笑)

安:はい、是非ご連絡お待ちしております(笑)

編:今後描いてみたいテーマやモチーフがあればお聞かせ下さい。

安:今後は…そうですね、今回は舞台が風俗の世界と少し特殊だったので
  カルチャーショックもあり、私も柔軟な頭が必要だったのですが、
  それもまたすごく刺激があって本当に面白い経験でした。
  原作付きの作品ですと、自分の中からは出てこないお話に挑戦できるので、
  今後機会がありましたら是非また挑戦させて頂きたいと思います。

  自身の作品としてはもちろん今回勉強させて頂いたことを生かしていきたいですし、
  男女間のことだけでなく、一人の人間として生きている間に起こるいろいろなこと。
  それに付随する感情や変化に興味がありますので、
  そういう超重苦しい感じの(笑)漫画が描いてみたいですね。
  今現在自分の描きたいものの世界を温めているところでもありますので、
  模索しながら追求して世の中に出させて頂ければと思っています!


編:超重苦しい(笑)。ぜひ読ませていただきたいです。次回作も期待しています!!
  それでは、最後に読者の方に一言よろしくお願い致します!!

安:連載中送って頂いたアンケートに「風俗ってこんな事してるんだ!」と
  感想を書いて下さった方がいて、それがすごく印象に残っています。
  単純に恋愛漫画としても楽しめる漫画ですが、
  実は風俗の仕事内容に興味がある、という方…そんな方には
  特にラブ&マネー、非常にオススメです(笑)

  それから実際に風俗のお仕事をした経験がある方もいらっしゃるかと思います。
  あかねと同じような経験をされた方も、
  今まさにこんな経験の渦中にいる方にも読んで頂けたら本望です。

  自分だったらどうするだろう? この後あかねはどうなるのだろう?
  と、私が原作を読んで考えたように、皆様もきっと
  新鮮な気持ちでページを捲って頂けるのではないかと思いますので、
  どうか末永くかわいがってやって下さいますよう宜しくお願い致します!

編:お忙しい中、どうもありがとうございました!
  「ラブ&マネー」は絶賛発売中です。店頭でお見かけの際は是非お手に取ってみて下さいね♪




<ネタバレ注意!! 単行本を読み終えた方に向けて追加インタビュー!!>
実は連載時でも反響が多かった“あの”シーンについてもお話をお伺いました♪

編:読者の方からの反響が大きく、また、
個人的にも印象深かったのは主人公がお客さんに無理やり…というところ。
初めは「飲み過ぎたかな~」とかって陽気に現れたのに(笑)、急に表情がガラリと変わって。
まさに裏の顔が出た!って感じでホントに怖いシーンでした。
 

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豹変する瞬間!?


安:あのシーンは…なんというか、きっとああいった
  お仕事をしていれば切り離せない出来事ですよね。
  個人的にですが、あのお客さんのキャラクターに関しては、
  あからさまにぎらぎら脂ぎった性欲の強そうなタイプではなく、
  普段もどちらかと言えば腰が低く、仕事でも家庭でも
  (家庭があるかどうかはわかりませんが)、抑圧されている部分があって…。
  それがお酒も入っていて余計に気が大きくなり、
  あの場所、お金を払って自分が優位であって良いというか、
  言葉は乱暴ですが、金を払ってる客なんだから
  風俗嬢なんて好きにしてもいいと勘違いしているというか、
  社会的にも見下されてる自分の鬱憤が
  無理やりに女の子を犯すことで晴らせられる…普段から自信がなく気弱なタイプで、
  同じことをするかどうかは別としても、そういう人は現実に多いのではないかなあと思って、
  ああいう見た目の男性を考えました。
  ごく普通に見える人が実は一番怖いかもしれないっていうのはよくある事ですし、
  あの客のおじさんはそうやってバランスを取って生きているのでしょうね。
  女の子だって人間なんだ、という意識が希薄になるのは
  ああいった場所や職業では仕方のないことかもしれませんし、
  逆に気を遣ってくれるお客さんもいるだろうし、働く女の子にとっても
  ある程度以上にわかりきったことだろうけれど、実際にされたら思った以上に
  傷付いた、あかねもそうだったんだろうと思います。
  あかねはその前にも本番を許してるわけですよね。
  でもその時はあかね的には許せる範囲の対価としてお金を
  貰えたから納得しての行為だったし、だから罪悪感がなかったと話しているし…。

  想像しか出来ませんが、考えれば考える程に大変な仕事だなあ! と思います。
  今は、チラシやネットなんかでいくらでも情報が溢れていて本当に間口が広くて、
  簡単に踏み込める世界で貰えるお金もいいのだろうけれど、
  そういう割り切った覚悟が出来ない女の子だと壊れてしまう。
  最初から割り切ることが出来ないまま仕事をしていたあかねの反応は
  ごく真っ当だったと思います。
  だからリアリティのある場面で、原作の凄さを感じました。

風俗嬢のリアルな恋とお金の関係を描き出した「Love&Money」、
書店にて絶賛発売中です!

また、近日中に原作者でもあるMAYUさんのインタビューも公開予定☆
要チェックです!


(取材;5月某日)