謹訳 源氏物語 改訂新修 林望

Information

  • 2024.4
    4月開講 講座のお知らせ
    三光院サロン「源氏物語を味わう、再び(全4回)」
    URL:http://sankouin.com//
  • 2024.2.1更新
    「源氏物語完読マラソン」(全5回)
    通読が難しい超大作を『謹訳 源氏物語』の著者の林望さんがストーリーに沿って解説します。
    日時:2024年3月7日(木)、5月16日(木)、7月11日(木)、9月12日(木)、11月14日(木)
    URL:https://www.chinju-no-mori.or.jp/genjimonogatari
  • 2024.2.18
    大人の学びフェス
    第3部:「源氏物語」の深い魅力
    日時:2月18日(日)15:20~16:30
    場所:有楽町朝日ホール
    参加費:2,200円(税込)
    URL:https://w.pia.jp/t/otonanomanabifes/
  • 2024.1.24
    1月講座のお知らせ
    カルチャーラジオ 「源氏物語の世界」
  • 2024.1.4~
    NHKラジオ第2放送 NHKカルチャー
    木曜「文学の世界」(1月4日~3月28日の毎週木曜)
    https://www.nhk.jp/p/rs/DK83KZ8848/
  • 2024.1.2
    NHKラジオ深夜便
    新春対談 「雅な時代に生きた女性たちが今に伝えること」
    https://www.nhk.or.jp/shinyabin/program/2a2.html

5大特徴

これまでの現代語訳・源氏にはない5大特徴

一

過剰な敬語を省き、主語を明確にした訳文スタイル

女房の語り口ではない地の文で、小説のようにすらすら読める「謹訳スタイル」をつくりました。

二

厳密な古典解釈と一切の省略がない「完全現代語訳」を実現

根拠のない恣意的な解釈や省略が一切ありません。

三

文中の和歌、地の文での引き歌も一切省略しない

文中の和歌もすべて分かりやすい訳とともに掲載しています。

四

欄外や巻末の注釈を設けない

和歌や引き歌の解釈、掛詞や古典知識は、すべての本文に訳し込みました。

五

原典の文学世界を、現代に置き換えた日本語で再現

原典『源氏物語』の豊かな文学世界を、まるで現代小説を読むようにすらすら読める表現で再現。

著者メッセージ

◎謹訳とは――題して『謹訳 源氏物語』としたのは、原典の持つ深く豊かな文学世界を、謹厳実直なる態度で解釈し味わい尽くして、作者の「言いたかったこと」を、その行間までも掬い取りたいという思いを込めたのである。

『謹訳源氏物語』に志す
林望

豊かな古典文学の森に分け入って、これを母語として読み、味わうとき、私は日本人に生まれて良かったと思う。なかでも『源氏物語』は世界的に見ても一つの「奇跡」である。
とはいえ、昔、若い時分に読んだ時には正直よく分からなかった。が、やがて大人になり、人の親になり、幾多の辛酸も嘗めなどするに及んで、この物語が描き出す「人生の実相」が、まるでわが事のように活き活きと感じられるようになった。読めば読むほど、この物語は、遠い昔の絵空事ではなくて、今日ただいまの、私たち自身の問題に通じていることが分かってくるのである。
大学・大学院博士課程、二十五年に及ぶ高校・大学教員生活を通じて、私は、終始一貫日本古典文学の徒であった。特に、古典への実証的解釈が、私の本来の専門である。研究者として、学問的方法に基づいて解釈し、同時に作家として「分かりやすく・面白く」現代の読者たちに伝えたい。そう願って、私は今まで、土佐日記、枕草子、落窪物語、平家物語、風姿花伝等々の古典を読み解く作品を書き続けてきた。が、その間、常に念頭にあったのは、古典文学の本丸『源氏物語』、この鉄壁の巨城であった。
ただ、漫然と訳すのではなく、たとえば、語り手の立場からの作中人物に対する重い敬語づかいは、これを原則的に廃して、ストレートな話法に変更し、その代わりに主語を明記するなど、いくつかの確信的変更を加えたが、それはひとえに読みやすく自然に物語るための操作である。しかし、根拠に基づかない恣意的改変は厳密にこれを排した。
題して「謹訳 源氏物語」としたのは、原典の持つ深く豊かな文学世界を、忠実謹直なる態度で解釈し味わい尽くして、作者の「言いたかったこと」を、その行間までも掬い取りたいという思いを込めたのである。それは、私の古典学者としての責任である。その上で、面白くどんどん読めてしまう自然な現代語で表現するのは、作家としての責任である。
『あさきゆめみし』などを読んで興味を持たれた方も、こんどはぜひ深い微妙なところまで読み、味わってほしい、そう願って私は、持てる力の総てをここにかけた。

推薦コメント

╲ 私たちが推薦します!╱
(順不同・敬称略)

以後、「林望源氏」こそが唯一無二の現代語訳源氏となるであろう

鹿島茂(フランス文学者・明治大学教授)

翻訳は「等価」を以て原則とす。厳密な解釈で原文を量り、それを明晰な現代文に移し替えるのである。だが、言うは易く行うは難し。とりわけ『源氏物語』においては、前者を欠いた文学者訳か後者のない学者訳しか存在しなかった。しかし、奇跡は起るものらしい。厳密な古典解釈者でありながら明晰な現代文の書き手である林望氏がこの難事業を成し遂げたからである。以後、「林望源氏」こそが唯一無二の現代語訳源氏となるであろう。

これはどう考えても「小説」なのです。しかも、とびきり面白い!

檀ふみ(女優・エッセイスト)

「名訳」と謳われる「源氏物語」は数あれど、「謹訳」はその範疇には入りません(多分)。だって、これはどう考えても「小説」なのです。しかも、とびきり面白い。つねづね、源氏はとんでもないヤツと睨んでいましたが、リンボウ先生の目は、源氏の魅力にもくらんでいません。いやはや、面白い!

本書の最後までたどりつくと、もう次巻が待ちどおしくてたまらない

三浦しをん(作家)

光源氏って、いやなやつ! でも、憎めないところもある……。などと思いながら、すらすら読むことができました。本書の最後までたどりつくと、もう次巻が待ちどおしくてたまらず、「そうか、源氏物語をリアルタイムで読んでた平安時代のひとたちも、きっとこういう気持ちだったんだな」と実感しました。『謹訳 源氏物語』は、「もしかしたら、私も原文をすらすら読めるかも」とうっかり思わされてしまう魅力にあふれています。

これぞ声に出して読みたい源氏物語訳。これなら全巻読破できる!

齋藤孝(明治大学教授)

のどごしがいい上に、コシがある。しかも香り高い。これぞ声に出して読みたい源氏物語訳だ。流れのいい日本語がどんどん心にしみこんできて、人物が生き生き動き出す。「これなら全巻読破できる!」と確信できる自然さだ。
国文学者にして作家である林望先生にしかなしえない、正確かつセンスのいい名訳の誕生を祝福したい。この名訳で源氏物語の精髄に触れ、人生の味わいを知れば、「日本に生まれて本当によかった」ときっと思えるはずだ。早く全巻を通しで読みたい。

各巻構成

一巻(桐壺 帚木 空蝉 夕顔 若紫 )

二巻(末摘花 紅葉賀 花宴 葵 賢木 花散里)

三巻(須磨 明石 澪標 蓬生 関屋 絵合 松風)

四巻(薄雲 朝顔 少女 玉鬘 初音 胡蝶)

五巻(蛍 常夏 篝火 野分 行幸 藤袴 真木柱 梅枝 藤裏葉)

六巻(若菜上 若菜下)

七巻(柏木 横笛 鈴虫 夕霧 御法 幻)

八巻(匂兵部卿 紅梅 竹河 橋姫 椎本 総角)

九巻(早蕨 宿木 東屋)

十巻(浮舟 蜻蛉 手習 夢浮橋)

プロフィール

林 望(はやし・のぞむ)

1949年東京生。作家・国文学者。
慶應義塾大学文学部卒、同大学院博士課程満期退学(国文学専攻)。東横学園短大助教授、ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。専門は日本書誌学・国文学。
1984年から87年にかけて、日本古典籍の書誌学的調査研究のためイギリスに滞在、その時の経験を綴ったエッセイ『イギリスはおいしい』(平凡社・文春文庫)で91年日本エッセイスト・クラブ賞を受賞し、作家デビュー。『イギリスは愉快だ』(平凡社・文春文庫)、『ホルムヘッドの謎』(文芸春秋)と並ぶイギリス三部作はいずれもベストセラーとなって、イギリスブームの火付け役となった。『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(P.コーニツキと共著、ケンブリッジ大学出版)で92年国際交流奨励賞、『林望のイギリス観察辞典』(平凡社)で93年講談社エッセイ賞を受賞。『謹訳 源氏物語』全十巻(祥伝社)で2013年毎日出版文化賞特別賞受賞(2019年『(改訂新修)謹訳 源氏物語』(祥伝社文庫)全十巻)。『夕顔の恋』(朝日出版)『源氏物語の楽しみかた』(祥伝社)等、『源氏物語』に関する著作、講演も多数。『謹訳 平家物語』全四巻、『謹訳 徒然草』(ともに祥伝社)、『謹訳 世阿弥能楽集』(上下、檜書店)『枕草子の楽しみかた』(祥伝社)等の古典現代語訳「謹訳」シリーズ他、エッセイ、小説のほか、歌曲の詩作、能評論等も多数手がける。
公式ホームページ http://www.rymbow.com/

既刊一覧

《祥伝社文庫》

改訂新修 謹訳 源氏物語 一 

定価:792円(10%税込)
ISBNコード:9784396346232

帝の子として生まれた光源氏。美貌と才能を兼ね備えるが、その心には深い闇――父の後妻である藤壺の宮への許されぬ恋慕――を抱えていた。

改訂新修 謹訳 源氏物語 二

定価:792円(10%税込)
ISBNコード:9784396317201

藤壺の宮との不義の子の誕生、車争い、六条御息所の生霊、葵上の死、朧月夜との情事、紫の君との契り――。名場面の数々を収録した第2巻は、源氏、18歳から25歳までを描く。

改訂新修 謹訳 源氏物語 三

定価:836円(10%税込)
ISBNコード:9784396317232

朧月夜の尚侍との密会が露見し、弘徽殿大后の怒りを買った源氏。遠流に処せられる前にと、自ら京をあとにして流離、須磨へ。明石の君との逢瀬、帰京、明石の姫君の誕生、冷泉帝(藤壺との子)の即位――。人生の浮き沈みと、別れの名場面に涙する3巻。源氏、26歳から31歳まで。

改訂新修 謹訳 源氏物語 四

定価:836円(10%税込)
ISBNコード:9784396317263

源氏の説得で姫を紫上に託すことを決意する明石の御方。源氏の最愛の人・藤壺は源氏に見守られながら息を引き取り、冷泉帝は自身の出生の秘密を知ることとなる。夕顔の忘れ形見である玉鬘の発見。夕霧と雲居の雁との恋。そして太政大臣となった源氏は、広大な六条院を造営し、人生の栄華を極める。源氏、31歳から36歳まで。

改訂新修 謹訳 源氏物語 五

定価:836円(10%税込)
ISBNコード:9784396317287

夕顔の忘れ形見・玉鬘は、親ぶったことを言いながら秘かに言い寄ってくる源氏の行状に悩む。男たちからの求婚が続くが、意外にも、玉鬘は髭黒の大将の手に落ちる。明石の姫君の入内、源氏の長男・夕霧と雲居の雁との結婚。准太上天皇に上った源氏、36歳から39歳までを描く。

改訂新修 謹訳 源氏物語 六

定価:836円(10%税込)
ISBNコード:9784396317331

源氏の兄・朱雀院は出家を願うが、気掛かりなのは娘女三の宮の行く末だった。思案した朱雀院は、源氏に託すことを決める。40の賀を盛大に祝った源氏に、女三の宮が正室として降嫁、紫上の苦悩が始まる。衛門の督(柏木)は垣間見た女三の宮に恋慕を募らせる。華やかな六条院に射す翳り――。源氏、39歳から47歳までを描く。

改訂新修 謹訳 源氏物語 七

定価:902円(10%税込)
ISBNコード:9784396317393

衛門の督(柏木)の病状はますます悪くなるばかりで、新年を迎える。源氏の正室女三の宮は、柏木との間に不義の子を生む。おさえきれない怒りとともに、人生の因果に愕然とする源氏。そして、ついに最愛の紫上に死が訪れる――。源氏、48歳から52歳まで。

改訂新修 謹訳 源氏物語 八

定価:1012円(10%税込)
ISBNコード:9784396317447

光源氏が世を去って後、六、七年が過ぎた。女三の宮腹の若君・薫は、自らの出生の秘密に悩む。 薫君、匂宮を中心に、物語は傑作「宇治十帖」へ。薫十四歳から二十四歳まで。

改訂新修 謹訳 源氏物語 九

定価:935円(10%税込)
ISBNコード:9784396317652

姉・大君を喪った中君は心を砕くような悲しみの中にいる。薫もまた大君の他界後、涙に暮れて過ごしている。そんななか、匂宮は、中君を京の二条院に迎い入れることを決めるのだった。薫二十五歳から二十六歳まで。

改訂新修 謹訳 源氏物語 十

定価:1012円(10%税込)
ISBNコード:9784396317720

匂宮は、かの二条院で偶然に見出した女が忘れられない。薫は浮舟を宇治も山荘に住まわせるが、通いは間遠であった。薫と匂宮の間で懊悩する浮舟。大いなる余韻を残し、物語は終わりを迎える。薫二十七歳から二十八歳まで。

謹訳 源氏物語 改訂新修 全10巻完結セット

定価:8789円(10%税込)
ISBNコード:9784396319014
著者林望自らが全巻朗読 オーディオブック 謹訳 源氏物語 全10巻

《祥伝社新書》

源氏物語の楽しみかた

定価:1100円(10%税込)
ISBNコード:9784396116187

『源氏物語』全五十四帖の現代語訳『謹訳 源氏物語』(全十巻)の著者林望が、 『源氏物語』の味わい方を徹底解説。現代語訳を進める際に残したメモをもとに、 名文、名場面、登場人物など、面白く読むためのヒントを十三の視点でまとめる。 千年の時を超えて堂々生き延びてきた日本文学の金字塔、 その魅力を存分に味わうための絶好の入門書。

枕草子の楽しみかた

定価:1155円(10%税込)
ISBNコード:9784396116897

十五の講義で徹底解説
『枕草子』全三百十九段から読みどころを精選。清少納言の鮮やかな筆が、『源氏物語』全五十四帖の現代語訳『謹訳 源氏物語』の著者林望の解説と現代語訳で甦る。
「今どきの親は……」と嘆く場面もあれば、男女の恋心の機微や、宮廷サロンの雅な情景、はたまた男の不条理さを責め立てたり、男に騙される若い女房たちに苦言を呈したり、抱腹絶倒の笑い話もあり。
学校では教わらない古典随筆の名著の本質に触れられる絶好の入門書。
著者の古典の知識と人間への深い洞察による解説は必読。本書一冊で、『枕草子』の世界が語れるようになる。

《四六判》

謹訳 平家物語 一

定価:1760円(10%税込)
ISBNコード:9784396615239

祇園精舎、祇王、俊寛沙汰ほか巻第三までを収録。
平安の世、宮廷社会に地歩を築いた平家一門。
その栄華と衰亡の物語が始まる──

謹訳 平家物語 二

定価:1760円(10%税込)
ISBNコード:9784396615390

橋合戦、宮御最期、小督など、巻第六までを収録
清盛、死す
頼政の活躍、小督の悲恋、
そして平家は源氏の計略に嵌り――。

謹訳 平家物語 三

定価:1870円(10%税込)
ISBNコード:9784396615611

戦いはクライマックスへ!
都を落ちる平家一門。
ついに一の谷の合戦へ――。

謹訳 平家物語 四

定価:1980円(10%税込)
ISBNコード:9784396615826

落涙。林望平家、ついに完結!
壇浦合戦、先帝身投、重衡被斬、六代、大原御幸……
巻第十から巻第十二、灌頂巻を収録

謹訳 平家物語 全4巻セット

定価:7370円(10%税込)
ISBNコード:9784396619039

謹訳 徒然草

定価:1980円(10%税込)
ISBNコード:9784396617752

或る時は人生の万般を考え
或る時は世の理不尽や愚かな人に憤慨し
或る時は珍談奇話を書き留める――。
随筆文学の最高峰 全243段現代語訳の決定版!