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京扇子に絵付けを
してみたら……

KYOTO

 今回の受賞者招聘にあたって、国際交流基金が事前に用意した京都ツアーのプログラムには、初日の「二条城」と「京都国際マンガミュージアム」、2日目の「日本文化体験プログラム」と「平安神宮」があり、その合間を自由行動にあてることができました。
 清水寺を訪ねたのは2日目の早朝で、ホテルに戻った2人はほかの受賞者のみなさんと合流し、日本文化体験プログラムがおこなわれる京都ハンディクラフトセンターに向かいます。平安神宮の北側にこんなおもしろそうな施設があるのは知りませんでした。

京都ハンディクラフトセンター

 体験するのは、京扇子の絵付け。
 平らな紙に描き終わってから折りたたむのかと思っていたら、すでにギザギザになった紙の上に描くのです。かなり難しそうですが、みなさん、イラストレーションのプロだけあって、相当なクオリティ。しかも、すごい集中力で、たちまち1時間が経過。

集中するセシルさん

 セシルさんは、猫2匹と満開の梅の木を描きます。使った絵の具は、墨とピンクの2色だけでシンプルにまとめ、梅花のピンクが美しく映えています。

完成!

 猫は1匹が手に杯を持ってほろ酔いで、もう1匹は酔っぱらって寝ていますが、セシルさん、実は下戸なのです。ボルドー大学に通っていたというのに、ワインにまったく興味がないとか。
 猫を選んだのも、ちょっと意外でした。アンスティチュ・フランセのサイン会で描いていたのはキツネやお地蔵さんでしたし、『鬼火』にも猫は1匹と出てきません。

『鬼火』に出てくる動物は、女郎蜘蛛とカラス

 ちなみに梅の絵は、今朝、清水寺から四条通に抜ける途中、八坂神社の境内で偶然見つけた満開の紅梅をイメージしたものだそう。

八坂神社の紅梅

 驚いたのは、扇子の中央に書かれたみごとな日本語です。
 「梅が香に のっと日の出る 山路哉(やまじかな)」
 芭蕉の句らしいのですが、みなさん、知っていましたか?



『鬼火
 ―フランス人ふたり組の日本妖怪紀行

ISBN 978-4-396-61623-6
定価:本体2778円+税
B5変型判

ⓒEditions Issekinicho-France-2016
Authors: Atelier Sento-Cécile Brun, Olivier Pichard
ⓒChinatsu Komagata-2017