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「医療否定」は患者にとって幸せか
著者名:村田幸生

2013-03-04 F.O.さん 宮城県
はじめまして。
 医学部生です。学部教育と近年話題の「医療否定」書籍に疑問を持ち、購入しました。本書は問題をしっかりと列記してくれて、分かりやすかったです。
以下、特に印象深かった部分を取り上げます。
 まず、統計の取り方についてです。病理学で膵臓がんの5年生存率は5%と習いました。ですが、私はこの結果をどう受け止めるべきか悩んでいました。
第4章で論じられていましたが、患者さんにそもそも確率で伝えること自体が病気を快方へ向かわせようとすることへの妨げとなることが分かりました。
 次に、「治療をしない」ということの選択についてです。病院見学で多くの高齢者が様々なチューブに繋がれた状態でいました。私はこの状況を見て、短絡的に辛そうだと感じてしまいました。ただ、北欧の終末期治療の例や姥捨て山の比喩を訴えかけられて如何に自分の考えが浅慮だったかを思い知らされました。
 最後に医師は常にダブルバインドに悩まされ続けている現状を知り、考えて信念を持ち行動し続けることこそ重要だと感じました。
 まだ臨床の勉強もしておりませんし、現場も全くと言っていいほど見ていませんが、これからどんな医師を目指すべきか途方にくれていた私の一助になりました。ありがとうございます。

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