川内原発のHPが乗っ取られた。そこにはテロ組織ISを意味する画像と共にカウントダウンの表示が! テロ予告に慌てた日本政府は、最強の傭兵藤堂浩志にISのサイバー部隊が潜むパリでの捜査を依頼した。現地に飛んだ浩志はISへの潜入を試み、パリからブリュッセル、そしてラッカへと乗り込んでいく……。
緊迫する世界情勢とテロの関連を赤裸々に描くアクション大作。
ソ連KGBを母体とするブラックナイト、
背後に中国の影が見えるレッドドラゴン。
それら巨大国際犯罪組織を潰滅するため、
藤堂浩志は世界を転戦する
作家を目指して文章を書き始めたのは、かれこれ14年ほど前のことである。
当時は時代小説や推理小説を書き、様々な新人賞に応募をしたが、手ごたえのない年月が過ぎた。
そんな中でたまたま同姓同名の俳優の渡辺裕之さんと知り合う機会があり、ある日彼を主人公にした作品はどうかと会話が弾むうちに盛り上がった。正直言って10年近く前のことなので経緯はよく覚えていないが、具体的な人物をモデルにすることで、ストーリー展開がスムーズになり、テンポが良い作品が出来上がった。
おかげで作品に目を留めた祥伝社が引き受けてくれることになり、2007年に第1作を世に出すことができたのだ。俳優の渡辺さんと未だに親しくしていただいているが、彼なくしてこの作品は世に出なかった。ありがたい限りである。
作品を書くにあたって特に彼から注文があったわけではなかったが、どうせなら刑事ものではなく、そうかと言ってスパイものでもないハードアクションが書きたかった。また、新しいジャンルを見出したいという気持ちから、辞め刑事の傭兵という設定にしたのだ。
作品では派手に銃を撃ちたかったが、刑事ものでは嘘臭くなるからで、作品にリアリティを持たせるためにも紛争地帰りの傭兵にした。
駆け出しの頃は、作品を生み出すことだけで四苦八苦したものが、作品を重ねるうちに作家としての使命を感じるようになる。誰しも悩むことなのだろうが、面白ければいいのかという問題である。
そこで主人公の藤堂浩志と仲間が活躍することで、世界情勢を読み解くストーリーを展開するようになった。マスコミでは伝えきれない世界の暗部をフィクションの世界に織り交ぜることにより、読者に知らせたい。今はその一心で筆を取っている。
もっともストーリーが面白くなければ、読者には読んでもらえない。だからと言って苦しんで絞り出しているつもりはない。これまで書き上げてきた作中の登場人物が、今は助けてくれるからだ。大まかなストーリーを考えて、そこに登場人物をキャスティングすれば、あとは主人公と傭兵仲間が書き手の私をも驚かせるような働きをしてくれる。
「傭兵代理店」、それは私のライフワークになりつつある。主人公とともに私も年齢を重ねているが、新たな登場人物が現れて活性化し、物語は続いていく。今後もどんな作品が生まれるのか、私自身楽しみである。