ブックタイトル営業の悪魔
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営業の悪魔
20「切符は、片道分だけですか?」本当に知りたいことは、切符の問題ではない。「あとのことは、本社面談のときに自分で訊きいてくれ」旭川は醒さめた顔で言った。利害関係が途切れると、上司という人種はこんなにも部下への興味を失うのか。航介は、舌先まで出かかった恨うらみごとを胸の奥に押しこんだ。航介が面談を終えて出ていくと、拓也が待ちかまえていた。「航介、なんの話だった?」「本社へ面談に行け、だと。それでもって、研修施設に一週間いろって」航介はこぼすように言った。それだけで察した拓也は、「追い出し部屋じゃないか。俺から言うよ」と告げるとパーテーションの向こう側に消えた。「旭川マネージャー!差し出がましいようですが─」航介は、耳を澄ませた。「南原は不器用な奴なんです。もう少し長い目でみてやってくれませんか。わたくしのチームに配置してくだされば責任を持って売れるように指導します」壁越しに聞こえた拓也の「指導」という言い方が引っかかった。自分は案外と、気にしない性分でもないんだな。航介はふっと笑いをもらした。続いて航介の耳に届いたのは、「会社が決定したことだ」という無慈悲な一言だった。