ブックタイトル謹訳 源氏物語 私抄――味わいつくす十三の視点

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概要

謹訳 源氏物語 私抄――味わいつくす十三の視点

10弘徽殿女御は悪役か?『源氏物語』は、光源氏を中心とした恋の物語だ、と誰もがそう思っている。そしてそれはもちろん間違いではない。けれども、それだけに目を奪われていては、この古今独歩の名作の、もっとも大事なところを見落としてしまうかもしれない。こうも言うことができようか。源氏を中心とする絢けん爛らんたる「恋の物語」という性格を横糸とすれば、それらの恋の種々相を織り連ねていく縦糸として、「親子の物語」という性格が考えられなくてはなるまいということだ。たとえば、かの悪役、弘こ徽き 殿でんの女によう御ご について考えてみようか。 右う大だい臣じんの娘で、桐きり壺つぼ帝ていの正室、それが弘徽殿に与えられた属性だから、いわば天下無敵のファーストレディであったことは間違いない。そして、その人は、次のように登場してくる。