ブックタイトル謹訳 源氏物語 私抄――味わいつくす十三の視点

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謹訳 源氏物語 私抄――味わいつくす十三の視点

11 第一章 親子の物語としての源氏物語一の御み子こは、右大臣の女御の御おん腹はらにて、寄せ重く、疑ひなき儲まうけの君と、世にもてかしづききこゆれど、この御にほひには並びたまふべくもあらざりければ、おほかたのやむごとなき御思ひにて、この君をば、私わたくしもの物に思ほしかしづきたまふこと限りなし。『謹訳 源氏物語』の訳文では、次のとおりに訳しておいた(以下、『源氏物語』の訳文の引用はみな『謹訳』による)。第一の君は、右う大だい臣じん家出身の弘こ徽き殿でんの女によう御ごの産んだ御み子こで、こちらは祖父が現役の右大臣という後ろ楯も重々しく、まったく疑いもなき日ひ嗣つぎの御子と世間では大事に大事にお仕えしていたけれど、しかし、この桐壺の更衣の産んだ御子の美しさには、とても肩を並べることができない。そのため、帝は、一の君のほうはそれなりに丁重に慈いつくしまれはしたけれども、この二の君ばかりは、なにをさておいても心ゆくまで情なさけをかけ、かわいがって育てられることは限りがなかった。この一の御子が、すなわち後の朱す雀ざく院いんの帝である。