ブックタイトル謹訳 源氏物語 私抄――味わいつくす十三の視点

ページ
20/36

このページは 謹訳 源氏物語 私抄――味わいつくす十三の視点 の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

謹訳 源氏物語 私抄――味わいつくす十三の視点

18やりよう。しかもまた、わが妹の尚ないしの侍かみをも、私はきっと入じゆ内だいさせようと思っていたに、まったく恥さらしなありさまになって、それだって、どうなんです、皆誰も彼もおかしなことだとお思いになりましたか。それどころか、あちらのほう000000に縁付けようとさえ思っておいでのようでしたけれど。お生あい憎にくに、その当ても外れて、そこではじめて尚侍として出仕もしていたようですわね。それじゃ、あまりにかわいそうだから、せめて、その宮仕えのお勤めのほうで人にも劣らぬようにお世話しよう、あ、あ、あんな憎たらしい人が見ていることでもあり、なんとして見返してやろうかと思っていたに、肝心の姫君が、私の思いを裏切って、こっそりと自分の気に入ったあちら000に靡なびいていたとは、ああ。斎院(朝顔斎院)のことだって……帝の御おん妻めにだって平気で手を付けようという男ですもの、ましてや斎院くらい平気でございましょうとも。何事につけても、帝の御おん為ためにはどうも不安心なように見えるのは、なにぶんあちらは東宮の御治世に格別の思いを寄せている人ですからね、それも当たり前かもしれませんわね」 と、歯に衣きぬ着せず言い募る。こうして、源氏はその「をこ」ゆえに、須す磨ま ・明あか石し へと流浪していくのだが、しかし、こうした「貴き種しゆ流りゆう離り 譚たん」と呼ばれる話の類型は、「やがてくる反転的幸福」を約