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概要

元気の源 五体の散歩

1 7 [第1章]歩けば…… 足の散歩わり出された歩くことの価値は新鮮であった。やがて、歩くことを、生活と勉強の基盤にしようということを考えるようになって、〝散歩開眼〟となった。まわりに散歩をしている人がないので、いい気分だった。虚栄心をくすぐられていたのであろう。頭のためによい散歩が体にいいのは当たり前である。散歩によって、心身を改造してやろうと思った。喘ぜ ん息そ くが持病で、虚弱体質だったのを改善しようとほとんど夢のようなことを考えた。やがて、すこしずつだが、はっきり効果があると思われるようになった。保健のための散歩は、そのころ、一般的でなかった。そんなとき、同僚のひとりが、健康診断で糖尿病のグレー・ゾーン、なるかならぬかの境目にある、と医師に言われたといってしょげている。それを見て元気づけのつもりで、「毎日、歩いていれば、それくらいのことなど吹っ飛びますよ」と言った。何を根拠にそんなことを断言したのか、わからない。半分は出まかせだったかもしれない。忘れることもなく忘れていた。一年してまた検診になった。さきの同僚が顔を輝かして言う。