ブックタイトル帝国海軍と艦内神社――神々にまもられた日本の海
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帝国海軍と艦内神社――神々にまもられた日本の海
16なぜ護衛艦「ありあけ」は批判されたのか長野県、北アルプスに二二六八メートルの高さを誇り、〝信しな濃の富ふ士じ〟の異名をもつ有あり明あけ山やまがある。安あ曇ずみ野の市に鎮座する有明山神社は有明山を御神体としつつ、手た力ぢから 雄おの 命みこと・八や 意ごころ思おもい 兼かねの 命みこと・大おお己なむ貴ちの 命みこと・天あま照てらす大おお御み神かみ・天あめの 鈿うずめ女の 命みこと・金こん毘ぴ羅ら権ごん現げんなどを神様として祀まつっている(「祭神」、ていねいには「御祭神」と言う)。天照大御神は、ご存じ太陽の女神。手力雄命は『古事記』『日本書紀』で有名な天照大御神の「岩戸隠れ」の際に岩戸を引き開けて世の明るさを取り戻した、力強さを象徴する神。八意思兼命は、知恵をつかさどる神。大己貴命は「因いな幡ばの素しろ 兎うさぎ」で知られる大おお国くに主ぬしの命みことのことで、国つくりの神。天鈿女命は「岩戸隠れ」のときに天照大御神が岩戸から出てくるように面白おかしく踊ったという、芸能の女神。金毘羅権現は山岳信仰における大おお物もの主ぬしの大おお神かみのことで、稲作豊ほう 穣じようの神。この地域は有明山神社を通して、こうした多くの神々にまもられてきたことになる。平成十四年(二〇〇二)二月、この有明山神社が突然新聞ネタとなった。海上自衛隊で翌月就役予定の護衛艦「ありあけ」に分霊神事を行なったことが問題化し、紙上でも学者