ブックタイトル帝国海軍と艦内神社――神々にまもられた日本の海

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概要

帝国海軍と艦内神社――神々にまもられた日本の海

26大自然にはかなわないということを体で覚えてもらうためです」人知を超えるものに畏敬の念を抱く日本人の精神性先述したように、古来より日本人は森羅万象に神が宿ると考えてきた。先の船霊信仰をはじめ、たとえば言葉に宿る「言こと霊だま」といった力や、樹木に宿る「木こ霊だま」という精霊の信仰なども、あらゆるものに神を見出す日本人の特質によるものである。『万葉集』に「志し貴き島しまの日や ま本との国は事こと靈だまの佑さきはふ國ぞ福さきくありとぞ」(柿かきの本もとの人ひと麻ま呂ろ)とあるように、日本は言葉の霊力が幸福をもたらす国とされてきた。言霊には発した言葉通りの結果を表わす力があると考えられてきたのである。祝のり詞とを奏上するとき、決して誤読してはいけないというのは、そのためである。言葉のみならず、音にも悪い魂たましいや霊を追い払い、場を清める働きがあるとされてきた。神社で行なう拍手などが良い例だ。また樹木に宿るとされる木霊は、山神信仰に通じるとされている。山中で声が返ってくる山やま彦びこは、この精霊の仕業だと考えられている。