ブックタイトル帝国海軍と艦内神社――神々にまもられた日本の海
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帝国海軍と艦内神社――神々にまもられた日本の海
35第一章 日本人にとっての神道と海の神近代日本と海の守りさて時代は下るが、いわゆる「鎖国」状態にあった江戸時代の日本も、海を越えてやってきたアメリカ艦隊によって「開国」し、近代化の道を歩み始める。近代日本にとって、すでに強力な海軍を保有していた欧米列強に対抗してゆくのは並大抵のことではなかった。自分たちよりも強力な敵の軍艦はどのような装備をもち、どのような攻撃を仕掛けてくるのか─欧米に発注した軍艦で、その欧米と戦う我が国にとって、海の戦いは〝未知との遭遇〟でもあった。そのような多重苦の中で、艦内に祀られた神社は乗組員たちにとって究極的な心のよりどころであったに違いない。艦首に菊きつ花か紋もん 章しよう(いわゆる菊の御ご紋もん)を授けられた軍艦は、天皇陛下からの預かりものとされたことと合わせて、乗組員にとって軍艦自体が特別な存在となっていった。敵の攻撃などによって沈没する際には、艦長が艦と運命をともにするという慣例もその表われのひとつであろう。そうした例は他国にもないわけではないが、帝国海軍の軍人にとって軍艦とは、単なる(場合によっては使い捨てとなる)道具としての兵器を超えたもの