ブックタイトル日米開戦の正体

概要

日米開戦の正体

10私は本書を書くに当たって、心掛けたことがあります。それは、「できるだけ当時の人の考えを紹介しよう」「考える材料を提供しよう」というものです。幸い私には時間があります。私が文献を探し求めて、「多くの人に考える材料を提供しよう」、そう心掛けました。なぜなら、結局、国の政治は国民のレベルに合った政治しか得られないからです。これまで、日露戦争から真珠湾攻撃までの歴史について、数多くの本が書かれてきましたが、この本では「なぜ真珠湾攻撃という愚かな道を歩んだか」という視点に絞りました。それによって、明確な糸が見えると考えたからです。この本の特色は、私が解説することを主眼にしたものではない、というものです。できるだけ多く、当時の人々の発言を紹介していきます。後世の人間が「後知恵」で解説するのでなくて、当時の人々自らの声で歴史を語ってもらいたいからです。そして歴史にはいろんな選択肢があった、異なった道があった、その中でなぜ真珠湾攻撃という選択をしたのかを考えてほしいのです。与えられた解答は身につきません。自分で考えた物が身につきます。私は少し、碁ごをします。最近、詰つめ碁ごの意味に気づきました。正解を知ることではないのです。考える訓練をすることなのです。今日の外交論はあまりにも「キャッチフレーズ」外交論です。選択に至る過程がすっ飛んでし