ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

日米開戦の正体

41 序章 なぜ今、真珠湾への道を振り返るのかハーバード大学教授で、一九六一年から一九六六年まで、駐日アメリカ大使でした。一九四一年には国務省の依頼を受けて極東課で働き、十二月の第二次世界大戦へのアメリカの参戦、日本との開戦後の一九四二年にはアメリカ陸軍通信隊の依頼で日本語の翻訳と暗号解読のための学校を設立し、アメリカ陸軍の参謀部情報に少佐として入隊し、一九四三年には、日本軍の暗号解読や心理戦などの対日情報戦に従事しました。ライシャワーは日本が真珠湾攻撃への道は軍人支配にあると見ていますが、なぜ日本社会が軍人支配を許したかについて考察しています。ライシャワーは、日本人は「権威に弱い国民」「全体主義の無差別奴隷社会」と位置づけました。軍国主義は危険な方向を目指していると知りつつ、多くの国民はそれを容認しました。この指摘は、今日の日本につながるものがあると思います。ライシャワーは著書『日本《過去と現在》』(鈴木重吉訳、時事通信社)で、次のように述べています。当時の日本において、国ナ シヨナリスチツク家主義的かつ権威主義的な反動が起こったことの裏には、当然ながら、数世紀にわたって形成された日本人のある特質があった。ナショナリズムはつねにくすぶりつづけており、さしてあおり立てずともそれは再び大きく燃え上がったし、幾百年もの武家政治の下にあった日本人は、軍国主義者の主導権主張を唯々としてうけいれた。幾世紀もの間の権威政治におとなしく服していたせいで、たいていの日本人は、再び