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概要

日米開戦の正体

54(3)仏歴史学者の見方─太平洋戦がなくても米国の欧州戦介入は起きたかもしれない。しかし、真珠湾攻撃がなければ米国の介入は遅れ、欧州の戦いに異なった影響が出ただろうここは非常に重要な所ですので、もう一つ引用します。フランスの著名な歴史学者ピエール・ルヌーバンの著作に『第二次世界大戦の原因』(鹿島守之助訳、鹿島研究所出版会)があります。次のように記述しています。〔一九四一年八月九日、十二日に行なわれたチャーチルとルーズベルト会談に言及した後、ルーズベルト〕大統領は、参戦の決定を下すことは難しく、世論の充分な支持を確保しなくては決定できない、と信じ続けた。ビーヴァーブルーク卿〔ルーズベルト大統領に近い。イギリスの政治家。新聞社主〕は一九四一年八月ワシントン訪問から帰る途中、ウィンストン・チャーチルに書簡を送り、アメリカが直接攻撃された場合は別として、アメリカ国民は参戦支持には傾いていないと述べた。(略)〔真珠湾攻撃による〕太平洋戦が起こらなくても、アメリカの欧州戦介入は起こったかも知れない。しかしこの介入がはるかに遅れて起こり、したがって欧州の戦いの経過に異なった影響を及ぼしたであろう、ということは確かである。◎F・D・ルーズベルト(一八八二‐一九四五)政治家。第三十二代米大統領。セオドア・ルーズベルト(第二十六代大統領)とは縁戚関係。一九一〇年、ニューヨーク州上院議員に当選し政界入り。第二次大戦勃発後は連合国の指導的役割を果たす。四一年、在米日本人資産の凍結と石油の対日禁輸を断行。真珠湾攻撃の翌日、日本への宣戦布告の誓約に署名した。写真提供/毎日新聞社