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概要

日米開戦の正体

81 第一章 真珠湾攻撃を始めたかったのは、誰なのか?私に説明した。彼からもらった覚書は次のとおりである。日本は事実上軍人をボスとする封建組織の中の奴隷国であった。それで一般の人は、一方のボスのもとから他方のボス、すなわち現在のわが占領軍のもとに切り替わったのである」吉田茂はまさにこれに該当します。軍が全権を持っていたとして、真珠湾攻撃容認はどのような過程を経て決まっていったのでしょうか。必ずしも一直線ではありません。危機を避けるいくつかの機会がありました真珠湾攻撃が行なわれた年、一九四一年でも、日本政治の中枢部にいた人々が対米戦争を常に容認していたわけではありません。その経緯を服はつ部とり卓たく四し郎ろう著『大東亜戦争全史 1』(鱒書房)、防衛庁防衛研究所戦史室著『大東亜戦争開戦経緯(5)』などから順を追って見てみると(詳細は次章で見ていきます)、いくつかの「IF(もしも)」が浮かび上がります。この「IF」を見ながら、真珠湾へのターニングポイントとなる動きを見てください。・近衛首相が内閣を投げ出さなかったならば、一九四一年中には戦争突入はなかったでし