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概要

日米開戦の正体

89 第二章 真珠湾攻撃への一五九日間ない③ 満州の治安を維持するためには、中国東北部を制圧しなければならない④ 満州に接する中国の領域を抑えるためには、上シヤン海ハイなどの抗日運動を抑えなければならない⑤ 上海を制圧するには、重じゆう慶けいにいる蒋しよう介かい石せき政権を倒さなければならない⑥ 欧米は蒋介石政権を支えるため武器をベトナム、ビルマなどを経由して送っている。このルートを遮しや断だんするため仏領インドシナに進出する⑦ 米国が対抗措置として石油の全面禁輸を行なった。インドネシアの石油を確保しようとすると米国と対立するので、日本側から米国を先に攻撃する歴史にはさまざまな「IF」があり、一直線ではありませんが、この①から⑦への基本的な流れは底流として強く存在していたと思います。こうした中で、日米戦争が決定的になるのは、一九四一年七月二日の御前会議において正式に裁可された日本軍の南部仏印(仏領インドシナ、現在のベトナム・ラオス・カンボジア)進駐が、七月二十八日に侵攻を実行してからです。米国は「これを許さじ」と決め、このときから真珠湾攻撃までの最後の一五九日間で、この流れが確定します。それでも、この時点では日米戦争は回避が可能でした。もしも……