ブックタイトル僕たちは戦後史を知らない――日本の「敗戦」は4回繰り返された

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概要

僕たちは戦後史を知らない――日本の「敗戦」は4回繰り返された

  24るかにかかっている。肯定派にしてみれば、これは「国家や国境を超えて、地球規模の価値や理想を実現しようとする望ましい発想」になろう。片や否定派にしてみれば、「国家として当然やるべきことを投げ捨てたうえ、それを美化するデタラメな発想」となる。現在の憲法が占領中に制定されたのを踏まえれば、「敗者の立場から永遠に抜け出せないよう、占領軍(ないし、その背後にいるアメリカ)によって画策された洗脳」と批判することも不可能ではない。しかるにどちらの派の主張も、ある重要な点を十分説明していない。その点とは、次のようなものである。 ─国民が全体として、国のあり方をめぐる価値観をいきなり逆転させるなどということが、そもそもなぜ起こったのか?これが分からなければ、「戦前」がどうやって「戦後」に移行したかも分からない。そして時代の移り変わりを理解する視点なくして、歴史を知ったとは言えない。戦後否定派の答えは、「占領軍、ないしアメリカによって洗脳されたせい」というものであろう。だが敗戦後の占領は、一九四五年九月から一九五二年四月まで、七年弱しか続いていないうえ、かなり寛大な性格のものであった。片や「戦前」は、大日本帝国憲法制定(一八八九年発布、一八九〇年施行)と議会開催(一八九〇年)を起点としても約五五年間、ペリー艦隊の