ブックタイトル僕たちは戦後史を知らない――日本の「敗戦」は4回繰り返された

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概要

僕たちは戦後史を知らない――日本の「敗戦」は4回繰り返された

25   第1章 終戦を疑え(1941年~ 1947年)来航(一八五三年)を起点とすれば九二年間続いている。これほど長期にわたって根付いた価値観を、寛大な印象を与えつつ、七年弱でひっくり返すような芸当が可能だとは信じがたい。しかも占領が終わってから、すでに六〇年が経過しているにもかかわらず、国家戦略の放棄を望ましいと見なす価値観は、なお強い影響力を持っているのだ。「独立回復後は、左翼に代表される国内の戦後肯定派が、占領時代の洗脳を引き継いだ」という見解もあるかもしれない。けれども左翼は、「反米」を旗印の一つに掲げている。アメリカ主導で行なわれた(はずの)洗脳が、アメリカに反対する立場の勢力によって引き継がれるとは、何ともワケワカな話ではないか。だったら戦後肯定派は、「なぜ日本人は、敗戦を境にして国のあり方に関する価値観を逆転させたのか」という問いかけにどう答えるか。「戦争の悲惨さと、それを引き起こした戦前の自国のあり方について深く反省したから」とくるだろう。ところが日本人が、昭和前半期の戦争を本当に反省しているかどうかも、案外に怪しいのだ。たとえば戦史研究家の三み根ね生お久きゆう 大だいは、陸軍士官学校の第六十期生として、二〇歳で敗戦を迎えた人物だが、著書『記録写真 終戦直後』(光文社カッパ・ブックス、一九七四年)でこう述べている。