ブックタイトル僕たちは戦後史を知らない――日本の「敗戦」は4回繰り返された

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概要

僕たちは戦後史を知らない――日本の「敗戦」は4回繰り返された

  32「相談事でも、討論でも、相手の言うことを聞かない、あるいは相手に物を言わせない最上の手は、『なるほど、解わかった』と言ってしまうことです」(福田恆存『せりふと動き』、玉川大学出版部、一九七九年、七六ページ)相手の主張を受け入れたふりをするのが、相手の主張を拒否するうえで最も役に立つというわけである。なるほど、口先だけであれ負けを認めている者にたいして、それ以上「負けを認めろ」と迫ることはできない。まさに「負けるが勝ち」であろう。だとすれば「戦前にたいする深い否定・反省」も、敗戦・占領という事態に直面して、なお戦前を(本当には)否定も反省もし、な、い、ための最上の手段ではなかったのか?次章では、ここから議論を始めることにする。福田恆存(1912-1994)。シェイクスピア戯曲の翻訳や、劇作でも知られる保守派の論客。写真/朝日新聞社