STORY ストーリー
織田信長が十四、五歳の秋の午後、牛をひと呑みにすると口上をたてる四十歳ほどで人体不明の漢、加藤段蔵と会って以来、その身辺には、いくつかのあやかしのことがあった。
河童、妖刀、大蛇、バテレンと法華、信玄の首……。
松平竹千代がやってきたおり、信長は、言葉づかいが大人びていて可愛気のない六歳児を気に入って従え、河童を捕らえに向かって、その正体を明らかにした。
斎藤道三の娘濃姫を嫁に迎えると、妖刀あざ丸の祟りを確かめた信長は、病の父信秀が受けた祈祷に効果のないことを見て、神仏を疑う。
ついに尾張で覇権を得た信長が、夢の中に見た幸若舞『敦盛』は、木下藤吉郎と松井友閑、飛び加藤を結んだ。
桶狭間決戦を制し、宣教師と仏僧に宗論を行なわせ、比叡山に火を放った翌年に成った安土城で、相撲の会を催した信長。ほぼ天下は、手中に収めたのだった。
やがて本能寺で、お濃の寝息を聞きつつ夢を見ていた信長が喧噪に目覚めた時……。