画/寺田克也

JAGAE

織田信長伝奇行

夢枕獏

STORY ストーリー

織田信長が十四、五歳の秋の午後、牛をひと呑みにすると口上をたてる四十歳ほどで人体不明の漢、加藤段蔵と会って以来、その身辺には、いくつかのあやかしのことがあった。
河童、妖刀、大蛇、バテレンと法華、信玄の首……。

 松平竹千代がやってきたおり、信長は、言葉づかいが大人びていて可愛気のない六歳児を気に入って従え、河童を捕らえに向かって、その正体を明らかにした。

 斎藤道三の娘濃姫を嫁に迎えると、妖刀あざ丸の祟りを確かめた信長は、病の父信秀が受けた祈祷に効果のないことを見て、神仏を疑う。

 ついに尾張で覇権を得た信長が、夢の中に見た幸若舞『敦盛』は、木下藤吉郎と松井友閑、飛び加藤を結んだ。

 桶狭間決戦を制し、宣教師と仏僧に宗論を行なわせ、比叡山に火を放った翌年に成った安土城で、相撲の会を催した信長。ほぼ天下は、手中に収めたのだった。

 やがて本能寺で、お濃の寝息を聞きつつ夢を見ていた信長が喧噪に目覚めた時……。

JAGAE ジャガエ

“蛇(じや)替(が)え――
つまり、蛇を捕らえるために、池の水を汲み出すことである。”

信長が、“蛇替え”というものをしたというのを知ったのは、いつであったか。一五年は前であろうか。

尾張の清洲から五〇町(約五・五キロメートル)東に、あまが池という池があり、そこに、大蛇が棲んでいて、見た者もいるという。顔は鹿のようであったともいうから、これはもはや蛟(みずち)か竜ではないか。

この噂を耳にした信長は、わざわざ近在の村から人を集め、数百の桶を用意して池の水を掻い出して、その探索をした。

これが“蛇替え”である。

このことは『信長公記』にも記されている。(あとがきより)

COMMENT 書店員さんから大興奮コメント続々!

いやぁこれは超弩級のエンターテインメント。
面白過ぎて目が乾いてしまった。
(精文館書店 中島新町店 久田かおりさん)
神も仏も恐れなかった漢、織田信長。
その人物像を見事に描いた超・超・超大作!
(本の王国グループ 宮地友則さん)
読んでる時間はまさに至福の時でした!!
信長の原理「一期は夢よ。ただ狂え」
この一言がすべてだ。
(文真堂書店 ビバモール本庄店 山本智子さん)
新鮮な驚きと発見に満ちていて心底楽しみました。
尋常じゃない面白さは未知の領域まで読者を連れていく。
(ブックジャーナリスト 内田剛さん)
まだこんなにも、信長の荒ぶる魅力を強烈に打ち出す、 抜群に面白い描き方があったのか!
(ときわ書房 本店 宇田川拓也さん)

PROFILE プロフィール

夢枕 獏

1951年、小田原市生まれ。東海大学卒。77年「カエルの死」でデビュー。84年『魔獣狩り』三部作で伝奇小説の金字塔を打ち立てる。89年『上弦の月を喰べる獅子』で日本SF大賞、98年『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞、2012年『大江戸釣客伝』で吉川英治文学賞を受賞。さらに17年より連続して、菊池寛賞、日本ミステリー文学大賞、紫綬褒章に輝く。安倍晴明を主役とした“陰陽師”シリーズは、晴明ブームのきっかけとなった。

公式Blog「酔魚亭」http://www.yumemakurabaku.com/
PHOTO/長尾迪

JAGAE(ジヤガエ)
織田信長伝奇行

夢枕 獏

■歴史伝奇小説
■四六判
■定価2200円(10%税込)
978-4-396-63610-4

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