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日本人のための戦略的思考入門
著者名:孫崎 亨

2010-11-03 上山祐幸さん 千葉県
「戦略論」として書かれた本書。テーマはよいと思う。しかし、職業柄外国の戦略論に接する機会の多い私は、以下の理由で著者の戦略に対する考えに疑問を持った。一、戦略と戦争は切っても切れぬ関係という認識に立たねばならない。二、戦略は戦争の経験によって生まれたものが多いが、日本人は戦争自体に慣れていないため、日本人は戦略的思考を「しない」のではなくて「できない」のである。三、冷戦以降、軍事戦略の進化が止まっているとするのは重大な誤りである。冷戦以降、戦略環境の変化は軍事戦略の進化を要求している。四、経営戦略は軍事戦略の補うものにはならない。経営と軍事は似ているがコンテクストが違う。更に本書で示されているような経営戦略で言われていることは、戦略家であるグレイやルトワックらがすでに説明している。しかし、このようなテーマの本は今後需要が高まると予想されるので、このようなテーマの本を続々発刊してもらいたい。

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