2010-12-17 DSKさん 愛知県 官能小説なのにハンカチ必須の家族愛がある。「老々介護」にまで言及する母と祖母の老いた姿を帰省直後に目の当たりにした28歳の主人公が、これを変化の無い故郷に重ねつつ、それでも都会には無い良さを知って考えを改めていく秀逸な物語である。母と息子、祖母と孫の現状とその後の不安から自分を見つめ直し、そして同時に周りから支えられていることを知る「縁」の素晴らしさがある。官能のためのストーリーではなく、人と人との係わりの中で再会した男と女が、それぞれに自らの過去を顧みながら、ぽかんと空いた穴を埋めるように今この瞬間に求め合うべく結ばれ、未来へ向かって歩み始めるための必然として官能が描かれている。すれ違う男女の心の機微をも盛り込んだ展開は、時にほろ苦く、そして美しく、素晴らしい。女性にも読んでもらいたいノスタルジックな感動作である。
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