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2011-01-06 中北 昭二さん 神奈川県 「日本の原発技術が世界を変える」 豊田有恒 (祥伝社新書) を読んで
最近書店で、面白そうなので購入して読んでみた。当方技術者ではあるが、原子力発電に関心はあるものの直接関係した事は無い。著者の方は原子力に関し大変造詣が深く、国内、海外の状況を良く把握されており、日本の技術力の高さを評価されている。現在、日本は防衛、環境、農業、教育など多々の問題を抱えている中で、著書は問題解決の一つの方向を示しており、興味深く読まさせて頂いた。高い原子力技術は、これからの日本の経済活性化に、欠かせないものになるであろう。海外への原子力平和的展開も重要な課題の一つではあるが、国内での原子力利用は更に重要な問題である。エコだ、エコだと政府やマスコミが騒ぎ立てるが、本当の意味でのエコロジーがどこにあるのかもう一度考え直す必要があろう。
化石燃料の代替えとして、ソーラーパネルや風力発電が話題となっているが、日本で本当に代替エネルギーになりえるのか、このあたりについて本書で詳しく展開して欲しかった。ソーラーパネルはイニシャルコストやパネル製造電力と日照時間を含むライフサイクルの関係がどうなのか。また風力発電は雷の影響もあって稼働率が低いと言われている。日本には砂漠も無いし、強い風が常に吹いている所もそれほど多く無い。ましてや発電量は原子力発電に遠く及ばない。これらの代替エネルギーは、ローカル的に使用する分には効果的かもしれないが、大電力を使用する大都会や大事業場ではそれほど効果的で無い。電気自動車もしかり。電気自動車がCO2削減に対して全てを解決するように、言われているが、もとの電力の70%以上は化石燃料である。現状ではCO2削減に対し、ハイブリッド車と大差ないと思われるがどうだろう。
本著によると日本の原発は現在建設中を含めて56ヶ所(約5��000万KW)とある。今後、CO2削減の為それらの稼働率を上げると同時に、新規建設が当然必要となるであろう。日本の原発の場所を見ると、本格的な原発は関東地方に一か所も無い。受益者負担からいえば、当然東京近辺にあっても良いはずであり、極端な例をいえば東京湾に何基かの原発を設置しても良いのでは。もちろん十分な安全性を考慮しなくてはならないが。また海外進出のPRにもなるだろう。話は代わるが、ロシアとの北方四島返還交渉にも原発技術を利用できないか。例えば北方四島を経済特区にし、原子力発電所を建設、ロシアの東方経済の活性化を支援する。その代わり何年か後(100年後になるかも?)には日本へ返還するというのはどうだろう。問題を起こしたロシアの原発に代わり日本の原発で日ロ平和条約が結ばれたら愉快ではないか。
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