|
 | 祥伝社文庫 密命・潰し合い中山道 切羽 著者名:佐伯泰英 | 
 | 2011-02-06 矢野恵子さん 埼玉県 剣者の宿命とはこれほどまでに過酷なものなのか。親子の絆や人と人との関係が希薄になっている昨今、「密命」を読んでいると忘れていたあたたかさと厳しさ、人としてこうあるべきという正しき在り方を改めて感じさせられる。しかしそんな思いを押しつけたりはしていない。読み手の私は知らずしらずさわやかなまでの感情を抱き、心の琴線にふれた瞬間こみ上げる熱い思いに包まれて至福の時間にしっとりと浸るのである。これこそ「佐伯マジック」、絶大な人気を誇る理由ではないだろうか。昇平曰く、「凡にして非、非にして凡」と言わしめた清之助、そして父惣三郎の生き方は、我々には到底及ぶものではないが、二人の生き様に物語を通して触れるとき、まるで目の前で見ているかのような興奮を覚えてならない。そして登場人物とともに、私も一緒に涙してしまうのである。
|  |
|