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ジャンル・タイトル・著者名
一般書籍(小説を除く)
美しいままで
著者名:ネーダーコールン靖子 解説・編/秋岡 史

2011-05-20 schoさん 福島県
オランダで安楽死した日本人女性の記録です。彼女の家族にとって、死を巡る個人的な事情を曝け出すことに大きな戸惑いがあったことは想像に難くありません。それにもかかわらず家族に出版を決心させたのは、安楽死に対する偏見をなくす為に役立ちたいという祈りです。
読者は、安楽死に至るまでの本人の忍耐と強い意志、家族や知人の支えや愛情、それらの切実さに涙なくしては読めません。確かに、衝撃を受け、感銘を受けます。
しかし、我々は、そこに留まってはいられません。この本から学び、個々人が生と死を自分のこととして、そして社会の問題として捉え考える必要があります。個別事例と法的論議が乖離しないように。
超高齢化、高度医療化、格差拡大の進む現代日本において、安楽死と尊厳死法案は議論され続けるでしょう。いま、日本人である我々がこの本をどう受け止めるかが問われます。この本を為の貴重な史料として多くの日本人が読むことを勧めます。

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