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 | 文芸書(文庫を除く) もう二度と食べたくないあまいもの 著者名:井上荒野 | 
 | 2011-08-03 高橋朋子さん 埼玉県 井上荒野さんの作品には、エスプリがいっぱいつまっている。大人の女の心のゆれやひだまでが、すんなり心に響いてくる。
この短編のなかで私が好きなのは、男の心が自分からスッと離れていく瞬間を描いた「手紙」。どこにも登場しない手紙を書いた女の子の聡明さや強さ、したたかさまでがあざやかに浮かんでくる。
また最後の「裸婦」では、普段の日常では、なかなかないけど、でももしかしたらあるかもしれない程度の可能性を秘めた‘ものぐるい‘がすんなり読者の心に入ってくる。この程度なら誰にでもありそうなちょっとした気持ちの狂い、そして怖さ。ナイフでグサッと刺されたよりも恐ろしくて魅力的だ。
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