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ジャンル・タイトル・著者名
文芸書(文庫を除く)
蜩ノ記
著者名:葉室 麟

2011-11-04 古野間邦彦さん 愛知県
心の中に騒ぐものが蜩の声なのだろうか?
凛とした戸田秋谷の余りにも見事な佇まいには、喧噪の様はありません。無実の罪をも、飲み込む魂の叫びが蜩なのだろうか? ただただ、感動します。
戸田秋谷の郡奉行時代の真摯な行動が深く村人の親愛をうけ、だからこそ理を尽くした説法が一揆の停止に導いたと思われます。そういう結果が予測されるので、鎖分銅で圧力をかけたのでしょう。最後の家老との対決は、お約束場面ではあるのですが、胸がすきっとします。また、切腹を目前にした松吟尼との邂逅は胸にせまるものがあります。ふと、藤沢周平「蝉しぐれ」を思いだしました。
これまで、葉室麟のすべての作品を読み、山本周五郎・藤沢周平の衣鉢を継承する作家と確信します。今後の作品を鶴首します。
庄三郎と郁太郎の後日譚を切望します。家老との対決、居合と石礫が炸裂すののが楽しみです。その時、信吾は敵か味方かなど今から胸がおどります。

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