2012-03-11 土肥伊豆男さん 静岡県 揺るぎなきものへの憧れが募り、その出現が待たれる現代日本にあって、戸田秋谷をつい虚像として捉えてしまうのは、現代社会でしか生きられない我々の悲しさではある。「死してなお生きる」のは、その覚悟が揺るぎないからだが、秋谷が示している「生」に執着しない生き方は、生も死も宗教に依存しない日本人らしさを感じさせる。秋谷の妻織江、息子郁太郎、やがて娘婿となった庄三郎も、そして農民の子源吉も、現代に生き、理想の死を考える現代日本人の憧れの対象足りうると思われた。
全編に渡りやや重苦しさを引きずりながら読んだが、同著者の他作品を読み進めたい気は十分に残される作品であった。
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