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北朝鮮 金王朝の真実
著者名:萩原 遼

2012-03-18 こわゆみ にしきさん 大阪府
 一般的には、北朝鮮の300万人にも及ぶ餓死者は自然災害と金正日の農業政策の失敗が原因と言われていますが、政治家としてそこまで無能な一面と、多くの識者をして「頭が良い」と言わしめる、外交面における狡猾さとの落差に、ずっと違和感を持っていました。
 本著における萩原氏の「300万人の餓死者は計画的大虐殺」という主張は、TV番組等で断片的に耳にしてきた北朝鮮の情報と、私の個人的な疑問がすべて一本の線に繋がり、様々なことが腑に落ちました。俄かには信じがたい「父・金日成の暗殺」説も、金正日の小心さと残忍さが生み出した先軍政治の在り方や、金日成死亡前後の流れ、氏の仮説を裏付ける数々の証言を読むと、そう結論づけるのが最も自然であると思われます。
 これほど説得力のある話を、何故多くの北朝鮮問題専門家は無視するのか、不思議でなりません。


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