2012-03-29 村上佳教さん 岡山県 切腹の宿命を負いながら、粛々と家譜編纂に励む戸田秋谷の武士道を貫く凛とした生き様に感服し、監視役本来の役目から、秋谷に魅かれ、できれば切腹を赦免できないかと願う庄三郎の心の内が見事に描写されている。
幕藩体制下で苦悩する農民の生活や田舎の季節の移ろいを背景として、息子の郁太郎、源吉の親子関係も現代では久しく忘れ去られている儒教の精神を蘇らせるものがあり、家族愛、武士の矜持、人の道に恥じない生き方とはいかにあるべきかを心に深く刻む読み応えのある時代小説である。
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