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ジャンル・タイトル・著者名
文芸書(文庫を除く)
蜩ノ記
著者名:葉室 麟

2012-04-13 mizunuma kazuoさん 栃木県
涙が自然と出て止まらない。
秋谷と松吟尼の互いに想いを寄せるも、叶わぬ運命と切ない別れ。
父の死を知るも、覚悟して気高く生きる母と娘と息子。
家族や友への優しさと気丈さを持つ源吉のむごい最期。
そして郁太郎と源吉の無念の別れ。
人間として優しくも凛とした武士の覚悟を持った秋谷。
それが庄三郎や農民たちに心深く影響を与え、行くべき道を悟らせている様だ。
穏やかな風景の描写がすばらしく、その「風景」と「ひとの心」が互いに繰り広げられている。
悲しく、非合理さに憤り、無念でもあり、その中で気高く生きる人間のすばらしさを見た。
本当に感銘を受けた。久々にいい本にめぐり合った一冊だった。

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