2012-07-26 竹林妙さん 愛媛県 一気に読了。すばらしい作。構成、人物像、どれもすばらしい。人間愛、武士道云々よりも、悪徳家老も含めて、子供たちも農民も皆が「精一杯生きている!」その姿が圧倒的に迫ってくる。
ただ、二つほど気になったところがあった。
一つは、会話の部分。主人公はもちろん農民たちも女性も、あまりにすらすらと、よどみなく自分の考えを話していることだ。心に屈折があれば、もっと滞り、言えないところがあるはずである。その点結果的にやや単純化されていると感じられたことだ。
もう一つは、冒頭部分、庄三郎が川岸で水を飲む場面である。「…顔が水面に映った」。前日まで雨が降り続き増水し、流れが速い川面は、波立っており、さらに水をすくって飲んでいる時に「眉が濃く…」の顔が水面に映るはずがない。ここを読んだ時は「あぁこれはいい加減な小説だ」と思い、ほとんどページを閉じるところであった。閉じなくて良かったけれど…。
しかし、久しぶりに堪能できた小説であった。
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