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一般書籍(小説を除く)
ヘンな日本美術史
著者名:山口 晃

2013-02-01 テクテクさん 埼玉県
現代の人間は西欧的な遠近法を唯一の世界の正しい見方であるかのように考えてしまいがちですが、この本によって、具体例に即しつつ、近代以前の日本画では西欧的な視点とは異なった、なおかつ人間の自然な生理に根ざした視線が定着されていることを知り、哲学での抽象的な西欧中心主義の相対化とは異なる、説得力のある脱近代への道標が書いてあると思いました。その非西欧的な視線が明治維新によって滅び去ったわけではなく、河鍋暁斎といった画家たちによって近代化の後も保たれていたことを知ったのは大きな驚きでしたが、やはりそれは江戸時代における絵画教育(この場合は狩野派)の伝統の力によるのでしょう。そうした伝統、つまり西欧とは別種の描き方の様式はひとまずはその後途絶してしまったのでしょうが、この本の著者の山口晃氏は画家でもあるそうなので、この本で示した、西欧的近代からの脱出の理論(それは真実の日本独自の近代の確立になるでしょう)を、実作にも生かしているとしたら、ぜひ作品を観てみたいと思いました。


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