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なぜ日本人は、最悪の事態を想定できないのか
著者名:井沢元彦

2013-08-23 佐々木紀夫さん 神奈川県
内容は概ね腑に落ちる説明であり、安全管理に対する私の意見にも近い。ただ、細かな点で間違いと思われる箇所を指摘させてもらうと、勅撰和歌集を政治的にとらえすぎているきらいがある点。古今集の仮名序の言霊信仰はその通りと思うが、果たして和歌の内容が災禍調伏のためのものか。ならばもっと祝詞の如く、平安を言祝ぐ歌が多くなるのではないか。実際は四季の風物や恋愛を詠った物が大多数である。どちらかと言うとこの時代の災禍調伏は加持祈祷等によるものではなかったか。また、筆者お得意の言霊論だが、ある程度妥当性はあるとしても、少し敷衍しすぎる。正常性バイアスで説明できる部分も多いのではないか。

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