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ジャンル・タイトル・著者名
祥伝社文庫
蜩ノ記
著者名:葉室 麟

2013-11-27 森山具樹さん 大阪府
まるで「法話」を聴くが如くの、細やかで、流れるような筆致である。今日、書店に氾濫している、所謂「時代小説」とは、一線を画す、別次元の時代小説である。人の在り方、生き方を鋭く喝破しており、心が洗われる、一冊といえる。初めて、著者である「葉室麟」氏の作品を目にしたが、「直木賞受賞」の意味が十分伝わる傑作である。主人公「壇野庄三郎」及び「戸田秋谷」その息子「郁太郎」等の人ざまを通して「人」の何たるかを、見事に訴えている。現代の我々が、ともすれば失いかけているものを、鮮やかに描き出し、読者を「葉室ワールド」に引き込んでいく。正に、時代小説でありながら、内容はそれにとどまらなく、深い。これからの時代小説に新しい「息吹き」を吹き込む必読の書である。

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