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ジャンル・タイトル・著者名
文芸書(文庫を除く)
ラブ・オールウェイズ
著者名:小手鞠るい

2014-03-05 さおりさん 東京都
何の前情報もなく、手に取った一冊です。
私がなぜこの本を手にしたか、家に持ち帰るまでにいたったか、読みおわった今、分かりました。私が選んだのではない、本が私に出会いに来てくれたと。

別れの手紙から始まり、その次に続くのが真逆のラブレター、おやっと思いながら三つ四つと手紙を読み進んだ時には、私は大学生の自分に戻っていた。あの頃、まっすぐに恋愛していた自分を重ねながら読んでいた。遠距離恋愛の経験が重なっただけでなく、恋愛中の心の不安や揺れる想いなども重なり、私までもが美亜子の、佑司の、次の手紙がまちどおしく、ともに恋をしているように引き込まれた。派手な悲しみや感動を表現した箇所はないものの、真実味あふれる内容に幾箇所も目が涙でくもった。

本書の最後がしるされなかったこと、作者の急逝が残念で他なりません。
最後まで読みたい、ここで2人をほおっておけない、ポンと穴が空いたような、親戚や古い友人の音沙汰がなくなってしまったような、そんな気持ちです。

本の構成上では、美亜子の手紙が帰国子女の日本語がたどたどしい設定にそぐわず、ボキャブラリーに富んだ豊かな日本語で書き綴られている設定には違和感が残る。徐々に日本語も上手になって行く様子まで小細工があるとよい。一方で無邪気な日本語表現でストレートに嬉しい、好きを書きつらねた若者の手紙には共感をえた。

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